インカ帝国は、15世紀前半から16世紀前半にかけて繁栄したアンデス文明最後の国家です。
インカとは「太陽(インティ)の子」という意味で、本来はインカの王のことを指します。インカ人自身は、自分たちの国を「タワンティンスーユ(4つの部分)」と呼びました。
アンデス文明史上最大の勢力を誇ったインカ帝国は、北はコロンビア、エクアドル国境地帯から、南はチリ中部にまで支配していました。13代の王がいたと伝えられますが、実在が推定できるのは第9代パチャクティから。皇帝アタワルパがスペイン人征服者に捕えられ処刑されたことにより、大国家としてのインカは滅亡したと言われています。
本展覧会は、これまで日本で開催されたインカ関連の展覧会とはちがい、インカの人々とその文化、彼らの帝国、そしてスペインによる征服によってこうむった変化にも的を絞って展示を構成します。
第1部『帝国の始まりとその本質』では「インカ王と彼が統治した国家が何であったのか」を、さまざまな遺物から探求。続く第2部『帝国の統治』で謎多きインカ帝国の統治システムについて、第3部『滅びるインカ、よみがえるインカ』では植民地期にインカのイメージがどのように生き残り、植民地統治に影響を与えていったかを考察します。そして第4部『マチュピチュへの旅』で100年前に発見された、インカ帝国全盛期の栄光が手つかずで残されているマチュピチュへ――。
比類ないほど複雑かつダイナミックで厳しいアンデスの自然環境で生まれ育ち、その環境と一つに溶け合って大帝国を急激に築き上げた、インカの文化。彼らは、どうやってそれを成し遂げたのか――その秘密を、この展覧会を通じて感じてください。

顔型の頸部を持つ壺

金合金製の小型人物像(男性と女性)

ドン・アロンソ・チワン・インガの肖像画
■開催期間:2012年3月10日(土)~2012年6月24日(日)
■会場:国立科学博物館
■ホームページ:http://www.tbs.co.jp/inkaten/
■住所:東京都台東区上野公園7-20
■お問合せ先:03-5777-8600