旭川に生まれた砂澤ビッキ(1931-1989)年は、1950年代前半から鎌倉で澁澤龍彦らを中心とする芸術グループに参加するなど、アーティストとしての活動をはじめました。
モダンアート協会展や読売アンデパンダン展に絵画を発表し、やがて抽象彫刻へと制作の重心を移していきます。
1959年(昭和34年)には旭川に戻り、北海道アンデパンダンの作家たちと交友を始めます。64年にモダンアート協会を退会してからは、「TENTACLE」(テンタクル=触手)や「木面」(きめん)など、独自のテーマによる個展を開催。触れることへと誘うような有機的形態や、連結部分が動くフレキシブルな構造といった造形が注目を集めました。
67年、札幌にアトリエを構え、1978年(昭和53年)に北海道北部の音威子府村から「森と匠の村」をテーマとする村づくりの支柱となる芸術家として招聘されます。以後10年間、同村筬島(おさしま)に制作拠点を移します。そして≪TOH≫などの力強い大作、可動性が繊細の極みに達した≪午前3時の玩具≫シリーズ、厳しい自然環境のなかに聖なる存在を感じ取るかのような「風」をテーマとする制作などに取り組むものの、1989年(平成元年)に病のため57歳で亡くなりました。
本展では、砂澤ビッキの生誕80周年を記念し、音威子府村エコミュージアムおさしまセンターBIKKYアトリエ3モアのコレクションを中核に、北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館、当館が所蔵する代表作を加えて展示。砂澤ビッキの造形世界を多様な角度からご覧いただきます。
彫刻、工芸に加え、油彩、素描、文様デザイン、詩など、多彩な表現を通して、砂澤ビッキという芸術家のポリへドロン、すなわち多面体的な世界の一端に触れていただく機会となれば幸いです。



■開催期間:2011年11月20日(日)~2012年2月19日(日)
■会場:北海道立旭川美術館
■ホームページ:http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-asamu/
■住所:北海道旭川市常磐公園内
■お問合せ先:0166-25-2577