当館では、約4000点に及ぶコレクションを核に、毎回テーマを設定して、戦後・現代美術の魅力を多角的にご紹介しています。
今期は、当館の絵画コレクションをご紹介する『布に何が起こったか?』と、彫刻・絵画・版画などの多彩な表現によるテーマ展『木の時間、石の時間』、そして淺井裕介による公開制作を含む特別展示で構成します。
『布に何が起こったか?』では、1950年代~60年代に描かれた絵画作品を展覧します。20世紀の一大潮流であった抽象芸術の影響の下、大戦による情勢や価値観の変動を受けたこの時期には、世界的に多くの優れた絵画が生まれました。
本展のタイトル「布に何が起こったか?」は、カンヴァスに作家たちがどのように挑んだのかという、“素材とのやり取り”に注目するものです。また同時に、彼らの試みによって絵画にもたらされたさまざまな変容をも意味しています。
日本における具体美術協会、ルーチョ・フォンタナやクロード・ヴィアラらのヨーロッパの活動の一端、そしてマーク・ロスコやモーリス・ルイスらによるアメリカ抽象絵画の動向など――。これらの作品を当館コレクションから取り上げ、歴史的にも参照されることの多い作品群をじっくりご覧いただきます。また、絵画の可能性を問うた作家たちの実践の意味と魅力に、改めて触れる機会となれば幸いです。
さらに、『木の時間、石の時間』では、樹木の成長や記憶、その誕生と死の連鎖にまつわる収蔵作品をご紹介。淺井裕介(1981-)の公開制作による特別展示では、ペンや土、植物の葉、ホコリなども交えて描き出される、バロック的世界をご覧いただけます。バラエティ豊かな今期のMOTコレクションに、ご期待ください。

アンドレ・ボーシャン≪花≫

大岩オスカール≪ホワイト(オス)カー 森≫ 2000年

淺井裕介≪泥絵・大きい山 (母山)≫ 2009年 現地で採取した土と水「まいにち,アート!!」、群馬県立近代美術館 撮影:柳場大 courtesy of the Artist and ARATANIURANO
■開催期間:2011年10月29日(土)~2012年1月15日(日)
■会場:東京都現代美術館
■ホームページ:http://www.mot-art-museum.jp
■住所:東京都江東区三好4-1-1
■お問合せ先:03-5777-8600