近年、琳派ブームは非常に盛況で、国内外を問わず展覧会が開催されるほど、人々の心を惹きつけてきました。同時に様々な角度から琳派を問い直す検証も行われています。本展覧会では、琳派の造形に影響を与えた料紙装飾の華麗な平安古筆、そして江戸時代の琳派作品、その後にいたる近代の日本画を通して、「和歌」と「装飾性」の視点から、数々の名品をご紹介いたします。
20世紀初頭より、江戸時代の琳派の作品は、近代の日本画家たちによって繰り返し研究され、取り入れられてきました。一方で琳派の絵師たちも、やはり遡(さかのぼ)る時代の古典に源泉を求め、様式を確立した一面があります。例えば主題においては『伊勢物語』や、『源氏物語』を絵画化し、また造形面では、記された和歌を視覚的に飾るため、平安時代に発達した金銀の料紙装飾を、様々な形で応用しました。そこで培われた感性やデザイン感覚は、琳派の華麗な装飾、斬新な意匠を形成した一因といえるでしょう。
このたび平安時代の料紙装飾の名品《石山切》【重要美術品】や初公開となる後陽成天皇《和歌巻》○【重要美術品】、細川幽斎《和歌短冊》○など、当館秘蔵の古筆コレクションを一堂に揃え公開いたします。また後の絵師達に繰り返し図様が描かれた伝俵屋宗達《槙楓図》○(山種美術館蔵)、『伊勢物語』が主題の尾形乾山《八橋図》●【重要文化財】(文化庁)や、深江芦舟《蔦の細道図》○【重要文化財】(東京国立博物館蔵)など琳派の名品に加え、近代の横山大観、下村観山や速水御舟らの琳派研究の成果が結実した数々の作品も展示します。江戸時代から20世紀にいたる画家たちが、和歌や古典文学、そして装飾性をどのように摂取し、絵画化していったかをご覧いただける特別展といたします。
本展覧会を通じて、千年にわたり受け継がれてきた和歌の伝統にふれ、古今の造形美の競演をお楽しみいただければ幸いです。
入場料:一般1200円(1000円)・大高生900円(800円)・中学生以下無料
■開催期間:2013年2月9日(土)~2013年3月31日(日)
■会場:山種美術館
■ホームページ:http://www.yamatane-museum.jp/
■住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
■お問合せ先:03-5777-8600
■開催期間:2013年2月9日(土)~2013年3月31日(日)
■会場:山種美術館
■ホームページ:http://www.yamatane-museum.jp/
■住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
■お問合せ先:03-5777-8600