「神と幽玄のかたち」という切り口で、三井記念美術館が所蔵する三井家伝来の能面と能装束を展観します。 平成20年度に国の重要文化財として一括指定された≪旧金剛宗家伝来能面≫54面をはじめ、能装束、楽器、謡本(うたいぼん)などを交えて、年末から新春にふさわしい展覧会となります。
能の歴史は古く、社寺に奉納する神事(しんじ)芸能としての翁は、鎌倉時代にまで遡るといわれ、当時は「猿楽」と呼ばれていました。その猿楽に演劇としての能が加わり、室町時代の観阿弥・世阿弥親子が、現在のような能楽を大成させるに至ります。
演劇としての能で使われる能面は、神や鬼、怨霊や亡霊など、主としてこの世のものではない役柄に使われ、さまざまなバリエーションが生み出されました。
神体、あるいは神の化身としての翁面・尉面。荒ぶる神々としての鬼神面。霊界にさまよえる怨霊・亡霊の能面。そして夢幻の空間を去来する老若男女の能面――。それらに加え、今回は、能面作家・橋岡一路(はしおかかずみち)氏より寄贈予定されている能面8面と謡本≪元和卯月本(げんなうづきぼん)なども展示します。
また、昨年の当館開館5周年を記念して製作された当館の能面を紹介する映像も、館内の映像ギャラリーで常時上映。あらゆる角度から、能の奥深い世界に迫っていただけます。

重要文化財 ≪翁(白色尉)≫ 伝日光作 室町時代 三井記念美術館 撮影:金井杜道

重要文化財 ≪孫次郎(オモカゲ)≫ 伝孫次郎作 室町時代 三井記念美術館 撮影:金井杜道

≪蜀江錦翁狩衣≫ 室町時代 三井記念美術館
■開催期間:2011年11月23日(水)~2012年1月28日(土)
■会場:三井記念美術館
■ホームページ:http://www.mitsui-museum.jp
■住所:東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
■お問合せ先:03-5777-8600