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Channel: 注目の展覧会|OCNアート artgene.(アートジェーン)
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「Today of Yesterday - 過去に在る、いま」 カンボジアからのアーティスト、ラッタナ・ヴァンディーとカニータ・ティスの新作展

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バッカーズ・ファンデーションとNPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]は、7月11日(土)から7月25日(土)まで「Today of Yesterday - 過去に在る、いま」展を白金高輪の山本現代にて開催します。本展は、海外のアーティストを東京に招へいするアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの8回目の成果展となり、2015年はカンボジア出身の作家ラッタナ・ヴァンディーとカニータ・ティスの2名が、これまでの代表作に加え、日本で制作した新作を発表します。 ヴァンディーは、主に写真や映像を用いて、歴史や記憶に触れる作品を制作しています。独学で写真を学び、「ドクメンタ(13)」等の国際展や、現在東京都現代美術館で開催中の「TIME OF OTHERS / 他人の時間」展にも参加している気鋭の作家です。ジャーナリストとしての活動経験を持ち、これまでに、国境紛争で緊迫した状況下にあった兵士たちのささやかな日常を捉えた写真を撮影した「Preah Vihear」(2008)や、ベトナム戦争時にアメリカ軍による爆撃でできたクレーターが現在も池のように残された場所を撮影した「Bomb Ponds」(2009)、また、70年代のクメール・ルージュ統治時代に命を落とした"あなた"への語りかけを綴った最新映像作品「MONOLOGUE《独白》」(2015)などを制作しています。ヴァンディーは、そういった時代の痕跡や、記憶の断片を詩的なアプローチで紡ぎ出し、個々の人間の存在や、歴史を別の角度から伝えてゆくことの意味を私たちに問いかけます。本展では「Bomb Ponds」シリーズに加え、東京で制作した新作を発表します。新作「Shadow in the Dark」では、無数の釘を使った彫刻や詩で、人間の内面に潜む感情や精神性を静かに映し出します。 ティスは、彫刻やインスタレーション、映像、パフォーマンスなど多岐に渡るメディアを用いた作品を制作しています。2010年には芸術活動を通じて、カンボジア女性の権利や社会的立場の向上のために貢献した女性に贈られる『You Khin Memorial Women's Art Prize』を受賞し注目を浴びました。2012年に行ったコミュニティ・プロジェクト「SurViVart」では、アート活動や対話の場が限られたカンボジアで、プノンペンのティスの自宅を開放し、幅広い世代の人々が集う交流の場を創出しました。細い針金を編んだ彫刻作品は、ティス自身の個人的な記憶や経験に加え、カンボジアの社会的事象から受けた影響が反映されており、それは瞑想に近いプロセスから生み出された繊細で力強いモニュメントとも言えます。本展では、日本と東南アジアの儀礼文化における "霊魂(スピリット)"への関心と、ティス自らの体験を反映させた新たな彫刻作品を新作として制作します。 近年、カンボジアを含む東南アジアにおける経済的、社会的な変化の波は急激に加速しています。一方で、その裏側にある複雑な社会情勢や歴史の忘却、そして秘められた想像力を、私たちは未だ知る機会は多くありません。時代の痕跡や、作家自身を取り囲む大きな社会構造とそこからこぼれ落ちてゆく儚いものを、現代を生きる若い作家の新たな視点で眺めてみることは、過去から続く今日という日に想いを馳せるきっかけとなりうるでしょう。

■開催期間:2015年7月11日(土)~2015年7月25日(土)
■会場:山本現代
■ホームページ:http://www.a-i-t.net/ja/future_archives/2015/06/the-bar-vol8.php
■住所:東京都港区白金3-1-15-3F
■お問合せ先:E-mail otoiawase@a-i-t.net Tel.03-5489-7277

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