100%、セザンヌ!
「近代絵画の父」と称される、ポール・セザンヌ(1839-1906)。その美術史上に残る画業を、「パリ」と「プロヴァンス」という2つの場所に注目して振り返る大規模な個展を開催します。
南仏のエクス=アン=プロヴァンスに生まれたセザンヌは、1860年代のはじめに、画家としての成功を夢見てパリに出ます。1870年代に入り、セザンヌは、当時世に出た印象派の輝くような明るい色彩に大いに感化される一方、形態と空間の表現に創意を凝らしました。そして、伝統的なアカデミスム絵画とも同時代の印象派とも袂を分かつ、まったく新しい絵画を確立したのです。
1880年代以降、パリに背を向けたセザンヌは、故郷のエクスにこもって制作した「孤高の画家」と見なされてきました。しかし、実際には、1861年から晩年に至るまで、20回以上もパリとプロヴァンスの間を行き来していたのです。フランス南北間の頻繁な移動は、これまで注目されてきませんでしたが、セザンヌの創作活動に決定的な役割を果たしたと考えられます。
本展は、セザンヌの芸術的創造の軌跡を、南北の対比という新たな視座から捉えなおそうという画期的な試みです。油彩、水彩、デッサンなどを合わせて約90点を展示。すべてが、セザンヌの作品です。
また今回、セザンヌの画業の出発点となった大作≪四季≫4点が揃って出品。さらに、最晩年の創作活動の場となったレ・ローヴのアトリエの一部を再現します。セザンヌが手元に置いて創作の糧としたオブジェの数々が日本で公開されるのは、これが初めてです。素晴らしい作品と共に、じっくりとお楽しみください。

「四季」(左から≪春≫≪夏≫≪冬≫≪秋≫ 1861~61年頃 パリ市立プティ・パレ美術館館©Petit Palais / Roger-Viollet

≪首吊りの家、オーヴェール=シュル=オワーズ≫ 1873年 オルセー美術館©Musée d'Orsay, Dist. RMN / Patrice Schmidt / distributed by AMF

≪サント=ヴィクトワール山≫ 1886~87年 フィリップス・コレクションThe Phillips Collection, Washington, D.C.
■開催期間:2012年3月28日(水)~2012年6月11日(月)
■会場:国立新美術館 企画展示室1E
■ホームページ:http://cezanne.exhn.jp/
■住所:東京都港区六本木7-22-2
■お問合せ先:03-5777-8600