強靭に、柔らかに、凛々、飄々、白々。
新年、5名の作家が 「白」に寄せる展示です。
内倉 ひとみ Hiitomi Uchikura
経歴
1956 鹿児島県生まれ
1980 多摩美術大学絵画科日本画専攻 卒業
1982 多摩美術大学芸術研究科 修了
ドイツ及び日本にて居住制作
なぜ人は美術館やギャラリーに足を運ぶのだろうか。
そこに何を探しに行くのだろうか。
創って見せる側の私は、内なるものの表出、表現がアートだと楽観的なことをいう訳にはいかない。また魂の彷徨の姿や社会批判をしたとしても、見る側はすでに十分知っている。情報も十分にあるし、生きれば生きるほどそれなりの苦労が身に沁みている。
探し物に来ている人に対して私に何ができるだろうか。自身に深く問いはじめた。そして心の成長を待つことにした。1988年のこと。そして、2005年の冬、私の底にある
景色、作品リュミエールに出会えた。
押し付けがましいものなど作りたくない。自由なのがいいな。見る人が私の作品の前に立ち肩の力を抜いて多くの対話をしてくれるのがいい。私の作品は、どちらかというと観る人の聞き役にまわるのだろう。だから、私の作品には、「白」がいい。(内倉ひとみ)
萩原 義弘 Yoshihiro Hagiwara
経歴
1961 群馬県高崎市生まれ
1985 日本大学芸術学部写真学科 卒業
毎日新聞社出版写真部を経て現在フリー
炭鉱が現役の頃は、山肌を埋め尽くすように炭鉱住宅(炭住)が建ち、煙突からは石炭ストーブの煙がたなびいていた。炭住に近づくと石炭のにおいが漂い、炭住を覆う雪はススで薄っすらと黒くなっていた。そんな光景が北国の炭鉱ではよく見られた。炭鉱が閉山し人々が去った今も、変わらずに雪は施設や生活の痕跡を覆うが、近年はその白さが際立っているのを感じる。薄汚れた雪から純白の雪への変貌。これも一つの産業の終息を意味している。 (萩原義弘)
藤井 龍徳 Tatsunori Fujii
経歴
1954 栃木県足利市生まれ
1980 東京造形大学彫刻科 卒業
ヤガテユクトコロ
カナワヌネガイ (藤井龍徳)
三角 みづ紀 Mizuki Misumi
経歴
詩人。1981年鹿児島生まれ。
東京造形大学造形学部視覚伝達学科卒業。
大学在学中に第42回現代詩手帖賞を受賞。
第1詩集『オウバアキル』で第10回中原中也賞を受賞。
第2詩集『カナシヤル』で2006年度南日本文学賞、第18回歴程新鋭賞を受賞。絵本や小説も発表している。
書くとき、思考するとき、個としての呼吸だけではなくありとあらゆる事物が関係していることを忘れたくない。
草木も体温も電球も野菜を切る手つきも全てわたしたちの生命であって、勿論、同等である。白が白であるように、全て。 (三角みづ紀)
横湯 久美 Kumi Yokoyu
経歴
1966 千葉県生まれ
1991 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
1993 東京藝術大学美術研究科油画専攻修士課程 修了
1998 ロンドン大学スレード・スクール・オブ・アーツ大学院彫刻科 修了
現在、横浜美術大学絵画研究室准教授
白い雪を白く撮影するのはなかなかやっかいだ。白色を出すことに疲れた私は開き直り、ディライト用のポジフィルムにて夜の雪景色を撮り始めた。それによって、白い雪ダルマが黄色く写る公園や、白くてかてかの雪道が青い海のように見える街角を見つけ出した。
人の眼やデジタルカメラは自動的に調整し本当の色・姿を見えなくしてしまう。すっかり懐かしくなったポジフィルム・20世紀の視点と、真っ白く柔らかな雪は、夜の都会の光がどのようかその様をダイレクトに教えてくれている。。(横湯久美)
■開催期間:2015年1月9日(金)~2015年1月25日(日)
■会場:マキイマサルファインアーツ
■ホームページ:http://www.makiimasaru.com/mmfa/
■住所:東京都台東区浅草橋1-7-7
■お問合せ先:E-mail makiimasarufinearts@fuga.ocn.ne.jp Tel.03-3865-2211
■開催期間:2015年1月9日(金)~2015年1月25日(日)
■会場:マキイマサルファインアーツ
■ホームページ:http://www.makiimasaru.com/mmfa/
■住所:東京都台東区浅草橋1-7-7
■お問合せ先:E-mail makiimasarufinearts@fuga.ocn.ne.jp Tel.03-3865-2211